その4

大人も、子供と同じように、自分の中の喜怒哀楽と利害の複雑な感情に突き動かされて打算と悪意と善意に基づいて行動しているのだ、という単純な現実を、まず、子供にばらしてしまうべきだと思うのです。

そして、その上で、その複雑な欲望と感情に突き動かされて、現実と格闘するときに、具体的な知識やスキルが必要になってくるのだ、という世界観を提示してあげるのです。

平等なんて嘘っぱちで、結局は、能力のある人間が、オイシイ役回りを持っていってしまうこと。

しかし、平等で公平にする努力をしないと、会社組織が上手く回らないという側面もあること。

能力のある人間が評価されるとは、限らず、努力が報われないこともたくさんあること。

しかし、努力せずに、オイシイ役回りや報酬が得られることはあまりないこと。

公務員になったとたんに、結婚を迫られて鬱になったこと。

年収が低く、ブサメンなので、誰にも相手にされず、結婚もできない人たちがいること。

子供の頃、スポーツ万能で、クラスのヒーローだった男の子が、大人になったら、安い年収で、軽く扱われ、冴えない暮らしをしていること。

勉強はできなくても、お花屋さんを経営して、成功した女の子のこと。でも、それは、いくつかの偶然と、彼女の才能によるもので、誰でも努力すれば、彼女と同じ成功を手に入れられるわけじゃないこと。

その彼女が、雇った経理の人に騙されて、資金を横領されて泣いていたこと。

そして、それらを、子供が今学んでいる、具体的な学習と関連づけて話すのです。いくら電卓やコンピュータがあっても、基礎的な算数や数学の能力が高くないと、経理の人のゴマカシを見抜けず、酷い目に会うこと。

そもそも、面白い仕事は、個人だけではできず、複数の人間がチームを組んで、プロジェクトをやること。たいていのプロジェクトは、予算を通してマネージメントされていること。基本的な計算が遅いと、企画会議の議論で置いてけぼりにされてしまうこと。仕事によっては、最新情報は、英語でしか得られないこともよくあること。現代文の試験で正解を出す能力と、仕事のドキュメント内容を的確に把握する能力は、かなり共通していること。

そして、結局のところ、大人の仕事というのは、子供の遊びと本質的には同じところがあるのだということを教えてあげるべきです。

転載おわり########

選択と集中って大事。仕事も人生も。